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第九回:船員・漁業の町から観光の町へ。海の恩恵を新しい形に変えて

今回は、船員・漁業の町から観光の町へ、町の資源を生かして新しい産業を作り出した「口之津観光船企業組合」をクローズアップ。常務理事・福田伸也さんにお話をお伺いしました。
| [今月のキーパーソン] |
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福田伸也ふくだしんや
口之津観光船企業組合・常務理事:地域産業活性化型
前職は運送業。趣味は釣りで、特にふぐ釣りの季節は必ずに行くそう。座右の銘は、ナポレオンの『余の辞書に不可能という文字はない』。
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漁師、運送業、ホテルマン…が、口之津の町を活性化させたい!そんな思いで一つに。
すぐ目の前で、青い海を悠々と泳ぐイルカたち。そんな姿を見ていると不思議と、元気ややすらぎ、いろんなパワーをもらえる気がしてきます。
長崎県島原半島の最南端の口之津町。ここで活動している「口之津観光船企業組合」では、船からのイルカウォッチングが体験でき、イルカが泳ぐ姿を間近で見ることができます。95%以上の観測率を誇るこちらは、今、人気高い観光スポットとして注目を浴びています。
しかし、今でこそ観光スポットとして大変な注目を浴びている口之津町ですが、少し前までは静かな漁村の風景が広がるだけだったと、常務理事の福田伸也さんは言います。「長崎県島原半島は、小浜温泉、雲仙、海水浴で有名なの加津佐町と、もともと観光客が多いところ。ところが、観光客は熊本との連絡フェリーを使用する際に、口之津を通過していくだけで、その恩恵は口之津には届いていませんでした。もともと産業もなく、不景気の影響もあってか船員も次第に少なくなり、町に人がどんどんいなくなっていくそんな寂しい状態でした。その中で、それに危機感をもった人たちが自然と集まり、意見を交換するようになりました。そして、なんとかして町を盛り上げよう!何か一緒にやろう!と集まったのが、設立時のメンバー5人。漁師、運送業、ホテルマンと職種もバラバラでしたが、熱い思いは同じでしたね」。
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まずは、地域の宝探しから。そして行き着いたのが「イルカウォッチング」
まずは、口之津の素晴らしさを改めて見直すことから始まりました。「口之津には人工ではない大きな弧を描いた港があります。また、国立口之津海上技術学校があることに象徴されるように、船員の町であります。そして、海はとても美しい。“自然の港、船員の町、きれいな海”。当たり前の光景の中に宝物があることが、改めてわかりましたね。これを活かさない手はない!と。
町の資源を活かしてできることはないか、具体的に出来ることを考えていくうちに、イルカウォッチングの話が出てきました。もともと熊本県の方では、観光産業として行われていたのですが、長崎県ではまったくそのような取り組みはされていませんでした。そこに目をつけたのです」。平成8年4月、任意団体としてイルカウォッチングを開始しました。5人はそれぞれが船を持ち寄り、さらには共同で一隻購入。その船には五人の宝という意味で『五宝丸』と名づけました。
地域活性というと、これまでは「箱モノをつくる、どこからか借り物を持ってくる」など、他力本願的なものが数多くありました。ところが、「口之津観光船企業組合」では、まず地域が持つ魅力探しから始まり、その資源を十分に生かせる方法を考えたのです。できるだけ大きな予算をかけず、それでいて地域の魅力を発揮できるもの。行き着いたのがイルカウォッチングだったというわけです。
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朝から晩までイルカを追う日々。それでも「絶対見られる」確実さにこだわった
95%以上の高い観測率、これが人気の秘密の一つでありますが、当初はとても苦労をしたと言います。「海と生きてきた私たちでさえ、イルカウォッチングとなると勝手が違い、最初はイルカを見つけるのに苦労をしました。しかし、お客様を乗せてイルカを見せることができなかったら詐欺になってしまいますから、死活問題です。朝から晩までイルカをひたすら追っかけていたことがありましたね。しかし、データを取りながら根気よく続けていくうちに、イルカが季節や潮目によって動くことがわかりました。今では、朝お客さんを乗せる前にイルカを探しに行き、お客さんを乗せ、万が一それでも見つからない場合は、別の船でスタッフがイルカを探しに行くという連携をすることで、ほぼ確実にイルカを見せることが出来るようになりました。また、イルカは背びれが一頭一頭違うのですが、コツコツ撮影した写真から判別を行った結果、現在、生息数は300匹はいるということもわかるまでになっています」と福田さん。こだわり、苦労してつかんだ高い観測率。「確実に見られる」、このことが大きなブランド力となり、集客力を伸ばしていることは間違いありません。
また、事業を始めた当初は、先駆けてイルカウォッチングを行っていた熊本県側の業者との調整に、苦労したことも。しかし、次第に協力体制ができていき、今では夏場などの繁盛期に加勢に来てもらったりするなど、さらに連携を強めています。「熊本県側との情報交換はとてもいい刺激になっています。長崎県では口之津のほかに両隣町(加津佐町、南有馬町)でやっていたそうですが、今ではここだけみたいです」。同業者とWin-Winの関係を築くことは、市場を大きくする上でもとても重要ですが、真摯に地道に取り組みながらうまく連携体制を築いてきた点も、成功の要因の一つといってよいでしょう。
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マスコミを味方に集客力を。「初めて」「唯一」「最も」がキーワードに
「観光スポットとして知名度があがった要因としては、タイミング的にとても良かったというのもありますね」と、福田さんは言います。この事業を始めたのが、ちょうどイルカウォッチングブームを迎える少し前。長崎県で初めてのイルカウォッチング事業者ということもあり、NHKなどで取り上げてもらったため、初年度で利用者8,000〜9,000人までに。一度メディアで取り上げてもらったことにより、その後も次々と取材の申し込みが殺到。好循環にも恵まれて、集客力は年々高まっていきました。現在では、九州以外の修学旅行の学生が、年間20,000人。一般の方も合わせると、年間50,000人の方々が、イルカウォッチングを楽しんでいます。
「初めて」「唯一」「最も」なものは、マスコミを味方につけやすいと言いますが、口之津観光船企業組合の場合、長崎県で「初めて」で「唯一」、しかも九州で「最も」観測率が高いと、掲載しやすい条件を揃えています。マスコミを通じ、効率よく知名度をアップした良い見本といえるでしょう。「他と差別化し、客観的に記事になりやすいものとは何か」、そんな視点で自分の事業を見つめることも大事なのではないでしょうか。
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お客様の笑顔=顧客満足。口之津の魅力を伝えるべく事業拡大が目標
「海に出て行き、一番初めにイルカを見た時のお客さん『わぉお!』という声や笑顔。あ〜この仕事を始めてよかったなと思う瞬間ですね。笑顔を見るためにも、ほぼ確実に見られるという観測率の高さと、それから安全性。これにはこだわり続けたいですね」と福田さん。笑顔=顧客満足。福田さんのお話から、お客様が何を望み、それにどう答えたらいいのかを明確に持つことは、成功するために重要なことだとよくわかります。
現在の拠点は駐車場が狭いので、近々、移転する予定があるだとか。「そこではバスが50台駐車してもいいくらい広い場所なのですが、“その場所すら狭くなったので移転します!”というくらいに、口之津に人を呼び込みたいですね、それが目標です。口之津の魅力をもっともっと知ってほしいですから!」。まわりの町とともに、自分たちの町をもっともっと活性化させよう!その熱い思い。また、借り物ではない地域の魅力を掘り出して、商品に昇華する方法。これこそが真の町興しスタイルです。これからの町興しのあり方として、事業として、ぜひ参考にしていきたいものです。
最後に…。近年、CBの担い手として企業組合が注目されていますが、今後、企業組合を検討する方へアドバイスをいただきました。「企業組合にしたことでまとまる話がまとまらなかったということもあります。みんなの意見の調整をするのは本当に大変ですが、そこをうまくやれるように注意してやっていただいたらと。逆にうまく調整できれば、大きな力となりますよ!」。
会社概要
●口之津観光船企業組合
長崎県南高来郡口之津町甲16番地2
TEL:0957-86-4433
FAX:0957-86-5677
HP: http://www.dolwatch.jp/index.htm
■設立年月日/任意団体:1996年4月 企業組合:1997年12月
■常務理事/福田伸也
■活動スタッフ数/有給9名
■設立時の協力者(サポーター)の有無/無
■設立時の資金調達について/自己資金
■設立時の人数/5名
■主な事業/
●イルカウォッチング
大人/中学生以上 2500円
子供/小学生 1500円
所要時間/1時間〜1時間20分
●観光用みやげ品の販売
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