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第八回:農業を通して、地域に顔の見える関係を。農業に新しい景色を作る!

今回は、農業を通して食と農のあり方を見つめ、地域の再構築に取り組む「農村塾那珂川安徳村」をクローズアップ。代表・古野悦子さんにお話をお伺いしました。
| [今月のキーパーソン] |
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古野悦子ふるのえつこ 任意団体 農村塾那珂川安徳村・代表:地域づくり型
ふくおか南部生協理事長3年間、那珂川町議会議員8年間、ふくおかネットワーク設立し(1991年)代表を10年間つとめるなど、食、農、地域づくりをテーマに、多彩な活動の実績をもたれている。座右の銘は「一粒の種になれ!」 |
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主役は地域に住む人。地域の中で、農業を通して、食と農、地域の関係を見つめてみたい。
かぼちゃ、おいも、かぶや、みかん…。福岡県筑紫郡那珂川町安徳にある「農村塾那珂川安徳村」が運営する直売所には、所狭しと新鮮な野菜や果物が並んでいます。「いらっしゃいませ、こんにちは!」と出迎えてくれたのは、代表の古野悦子さん。古野さんの優しい笑顔、お店のたたずまいに、思わず「ただいま」と言ってしまいそう。ほっとして懐かしい、そんな温かいものを感じさせてくれます。
「農村塾那珂川安徳村」では、農産物の直売所や手打ちそばと季節の野菜を使った家庭料理の店、体験指導など、農業を柱にした事業を展開していますが、その出発点は、食と農のあり方、地域のあり方に疑問を抱き続けてきた、古野さんのある思いにあります。
実は古野さん、長年、生協(現・グリーンコープ)で活動し、理事長も3年間勤めた実績の持ち主。また、生協の中から議員を出そうという提案をし、『ふくおかネットワーク』を設立。その代表を10年間、そして、自ら那珂川町議会議員を二期8年間務めたこともあります。
「行政という立場から、町を良くできればと活動していましたが、たとえ行政からの良い政策が出たとしても、地域にそれを活かす受け皿となる人たちがいなければ、先には進みません。最終的な主役は地域、地域の人々です。地域の中で実現していく人々がもっと必要だと強く感じましたね。それならば、生協活動や議員活動で言ってきた事を自らやっていこうかなと。ずっと取り組んできました『食と農のあり方を見直す』ことも深めていけたら、また、農業を通して『地域で顔の見える関係を構築していきたい』と思い、『農業に新しい景色を作ろう!』をテーマに、農村塾の設立を決意しました」。そして、1999年11月、「農村塾那珂川安徳村」がスタートしました。
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共同経営の難しさも…。ニーズを掴んだ事業で脱却を図る
とはいえ、いざ経営となると様々な問題があり、軌道に乗るまでは試行錯誤の連続だったそうです。
「人間関係を組織として構築することは、容易ではありません。設立当初は、共同経営で始めたのですが、活動を進める中で、微妙な意見の食い違いなどあり、現在は私たち夫婦を中心に活動しています。また、農村塾は参加するみんなが経営者であるという考えで運営を目指していたので、農村塾で野菜を出したい、農村塾で仕事をしてみたいという賛同者には、一口3万円出資金を募っていました。しかし、今では、この出資金がお祝いのようになってしまい、実際には農村塾を支えていくためにリスクを共有できる立場までには至っていないのが現状です」と古野さん。
しかし、このような地域の人が集まり作っていくような場が欲しいというニーズを確実につかんでいたため、紆余曲折を経ながらも、事業として継続できている要因だと言えるようです。
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販売にとどまらず、そこに人の交流、学びを。人を呼び込む戦略とは?
現在では、農産物の直売所、手打ちそばと季節の野菜を使った家庭料理中心の店・『だんだん』、田植えなどの体験を行う農業研修、豆腐工房という手作り豆腐の製造販売、手作りそばの体験、都市と農村の交流、小学校での体験学習、貸し農園など、農業を柱にし様々な事業に取り組んでいます。
農村塾那珂川安徳村の成功の要因は、単に農作物の販売だけを目的とせず、そこに常に、人の交流、学びなど、プラスアルファの価値に重きを置いて活動してきた点にあるようです。
「農業を通して地域で顔の見える関係を作っていきたい、そんな思いが最初からありましたから、地元の皆さんから受け入れていただくにはどうしたらいいか、そのことを大事に考えてきました。老人会、子ども会にも施設を活用してもらうようお話させていただいたり。地域の色々な方に農村塾を知ってもらいたい、ほっと一息つける地域のたまり場にしたい、そう思って活動してきました。また、都市と農村の交流にも力を入れています。田植え、稲刈り、みかん狩りなどを通して、都市の方に喜んでいただく、私たちも交流ができることがとても楽しみなんです」と古野さん。人とのネットワークを大事にするうちに、今ではリピーターが数多くいらっしゃるそうです。また、リピーターの方からの口コミが、新しいお客様を連れてきてくれています。人の輪がまた人を呼ぶ、ネットワークこそが最大の強みとなっているのです。
また、小学校への体験学習、そばうち体験など、農業を学びの題材として広める活動もしています。
「食と農のあり方を見つめてもらうためには、体験、そこからの学びが大切です。まずは自分の手でやってみて感じて欲しい、ここがそういう場になればと思っています」。
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地域にはたまり場が必要。地元を良くしたい、そういう人が地域を越えて繋がっていけたら…
「生協やふくおかネットワークの活動を越えて、いろいろな人との繋がりが限りなく広がっています。違う立場の人たちが、地域を良くしていくために様々な話題を出していく、そういう場を作っていけていることが、本当にうれしいですね」と、目を輝かせる古野さん。活動の経験が多彩で、さまざまな知識とノウハウをもっている、そんな古野さんの活動力が成功に導いたことはいうまでもありません。
次なるステップを目指し、古野さんは自らの課題をこう言います。「店舗がスペース的に厳しく、野菜の品揃えが少ないことをなんとかしたいですね。また農村塾を継承してくれる人材の育成、これが一番の課題でしょうか。地域のたまり場はこれからますます必要となってきますから、各地で立ち上がるといいですね」。古野さんの成功例が、各地で同様の活動が立ち上がる起爆剤となるに違いありません。
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会社概要
●農村塾那珂川安徳村
福岡県筑紫郡那珂川町安徳220番
TEL:092-951-3873
FAX:092-951-3874
■設立年月日/1999年11月
■代表/古野悦子
■事業主の人数/1名
■活動スタッフ数/有給5名
■設立時の協力者(サポーター)の有無/無
■設立時の資金調達について/自己資金で立ち上げた。夫の退職金1300万円を活用
■設立時の人数/4名
■主な商品/手作り豆腐150円、手打ちそば450円、ざるそば500円、そば定食700円
■主な事業/
●農産物の直売所
●『だんだん』という手打ちそばと季節の野菜を使った家庭料理中心の店
●田植えなどの体験を行う農業研修
●豆腐工房という手作り豆腐の製造販売
●手作りそばの体験
●都市と農村の交流
田植え、稲刈り、みかん狩りへの協力などの問い合わせがあり、対応している
●小学校への体験学習
豆腐つくり、わら細工などを行い生涯学習課のボランティアとして登録
●貸し農園
一区画3000円で畑の貸し出しを行っている
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