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第五回:障害者が個性を発揮して働く“新しい社会参画スキーム”づくり

今回は、ITの活用、ナイスハートショップの運営などを通じて、障害者の経済的・精神的自立支援を目指す「アイ・ネットワークくまもと」をクローズアップ。代表理事・竹元茂一さんと、常務理事・三角泰史さんに、お話をお伺いしました。
| [今月のキーパーソン] |
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竹元茂一たけもとしげいち
NPO法人 アイ・ネットワークくまもと代表理事:福祉 雇用創出
前職・寿屋時代は企画を担当。その経験を活かした緻密な事業プランと営業力で、新しい社会参画スキーム作りを目指す。影響を受けた人は、司馬遼太郎。座右の銘は、生涯現役!「働きながら、知らん間に死んでいたという人生を送れるくらいに自分の力を試してみたい!」
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三角泰史みすみやすし
NPO法人 アイ・ネットワークくまもと常務理事:福祉 雇用創出
前職・寿屋時代は情報処理を担当。IT分野ほか実務において、詳細な組立てと実行力でメンバーを引っ張る司令塔。三角さんの座右の銘は、公正。影響を受けた本は、吉川栄治「三国志」。趣味は、散策(山歩き)。
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倒産から起業へ! 目指すは、障害者のための社会的・経済的自立のサポートシステム
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点字のある名刺

↑この部分が点字
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「最近、とても好評なんですよ」と、代表理事・竹元さんに差し出された名刺は、アイ・ネットワークくまもとが制作する「UD(ユニバーサル・デザイン)名刺」。名刺に点字の凸凹を付け、視覚障害者の方にも読めるようになっていて、裏面に手話の50音をあらわす「指文字」が印刷されている画期的な名刺で、最近特に各方面からの引き合いも多いのだそう。〜障害者ひとりひとりがそれぞれの個性を発揮し、生き生きと輝けるような、新しい社会参画スキーム作りの支援がしていきたい〜この1枚の名刺にも、竹元さんらの思い、そして斬新な発想が込められている、そう感じました。
アイ・ネットワークくまもとは、現在、IT関連業務、「ナイスハートショップ」の運営などを通じ、障害を持つみなさんの社会的・経済的自立のサポートを行っていますが、その設立はあの寿屋の倒産がきっかけなのだそう。「設立時の構成員10人中9人が、倒産した寿屋の元社員。再就職を考え就職活動を試みてはみたものの、40歳代という年齢、私を含む3名は障害を持つというハンデもあり、なかなか再就職は狭き門でした。それならいっそ自分たちの手で働くところを! 障害者の人が働ける環境を作っていこう! そう決意したんです」と、常務理事の三角さんは当時を振り返ります。
一方、竹元さんは「私自身、寿屋で企画関係の仕事をしていましたので、寿屋の再建策として、“地域との関わり”をテーマにした小売業の地域でのあり方、小売業だからこそ物以外のものも提供していかなければ!と企画をしていましたが、結局、その企画が実現することはありませんでした」。夢半ばで退職せざるを得なかった当時を振り返ります。
「私たちは、寿屋時代から仕事で関わることが多かったので、お互いの考え方を理解していました。倒産をきっかけに、お互いの想いが一気に現実的に形になっていった結果が、このアイ・ネットワークくまもとの設立だったのです」。
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ITは障害者にとってとてもいいツール、そう確信して…。
アパートの一室からのスタート。さぞかし苦労も…と思いきや、「失敗や苦労はすでに覚悟を決めて始めたので、お金がない!なんてことは実際にあったけど、そんなに辛く感じたことがないですね」と笑い飛ばすお二人。「活動開始から数ヶ月後に、熊本県のインキュベーション施設・夢挑戦プラザ21に入所し、1年間の準備期間を経てから、現在は、(株)エブリワンの店舗内で活動しています。周りの方の支えがあればこそ、なんとか順調にきていると思います」。人は支えあってこそ人、支えてくれた方たちへの感謝が今の事業に息づいていると言います。
竹元さんらは、事業を始めるにあたって、キーワードを明確に掲げました。一つは、「障害者が就労できること」。そして、「自分たちの特技を活かせることをやること」。
「三角さんが、前職で情報処理をしていたこともありますし、障害者にとっていいツールということで、私たちはITに着目しました」。まずは、障害者の方にどんどんITを利用してもらいたいと、PC教室を開講。「障害者でPCを習いたいという人は非常にたくさんいるんですが、彼らは習うこと自体が目的ではないんですね。将来はその技術を使って働きたいという思いがあるから、習いに来るわけです。それじゃあ、その後の仕事も作ろう!と(笑)。企業や団体からデータ入力やWebサイト制作、チラシ、名刺制作などの仕事をアイ・ネットワークが受注し、各障害者(テレワーカー)に仕事割り振りをするという“テレワークシステム”を導入しました。その中でも最初にお話したUD名刺は大変好評で、よく注文をいただいています」と竹元さん。障害者とITを結びつけ、このシステムを導入することで、障害者の働く環境づくりは大きく前進したのです。
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消えた夢が再び…。「ナイスハート」は、誰にでもやさしい地域ネットワークの拠点に!
その一方で、あの時消えてしまった竹元さんの夢が再び目覚める時がやってきました。
活動を続ける中で、潟Gブリワンとのパートナーシップ・協働の話が進み、企業とNPO、行政が協力して地域との共生を目指したショップ「ナイスハート」(営業時間
9:00〜21:00)をオープンすることとなったのです。
ナイスハートでは、木のぬくもりを生かした玩具をはじめ、アクセサリーや自然食品、陶芸作品など、障害を持つ方々が社会自立のため手づくりで心を込めて製作した商品などを販売。県下の授産施設や小規模作業所とのパートナーシップにより実現しました。この他、介護用品などの販売・レンタル、クリーニングの取次ぎサービス、パンフレット・チラシなどのプリントサービス、買い物代行サービス、パソコン教室などのITサービスなど、様々なサービスを提供しています。これら商品やサービスを皆様の暮らしの中でお役立ていただくことで、自立して働く仲間と共に「福祉のまちづくり」を目指し、誰にでもやさしい地域ネットワークを築いていけるのではと、竹元さんらは考えているのです。
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連携、企業経験、そして、人間性。アイ・ネットワークの成功の秘密。
なぜ、アイ・ネットワークくまもとがこの事業をうまく成功させたのか…。まず注目すべき点は、竹元さんと三角さんの連携の妙。竹元さんがこれまでの企画の経験を十分に活かし、行政や企業への営業、調整役をしっかり担っている一方で、それを具体的に仕事として詳細を組み立てて、堅実に実行するのが三角さん。役割分担がハッキリあり、その連携プレーが、活動の原動力となっているようです。
そして、お二人の企業勤務、小売業の経験による事業センスも、着目すべき点です。「ショップにおいては、商品が良いのは当たり前」と言い切る竹元さん。長年の小売業の厳しい経験から、常にお客様の方を向いた経営がしっかりベースとなっています。
また、事業の柱がいくつもありますが、バラバラのようで実はしっかり横でつながっており、効率、コスト意識の高さもさすがです。事業計画を緻密なのはもちろんのこと、もし万が一ある事業の見通しが立たない場合、撤退の決断も躊躇がありません。
加えて、感情的な面で言うと、お二人は「ニア・イコールの価値観」を持っていらっしゃいます。「最終目的地は同じようなところになるので、お互いすこし違っても認め合っていくことが出来ますね」。違いを共有しながらも、同じ目的地に歩いていける人間的な幅の広さ。次第に大きくなる協力者の輪の広がりは、事業性の確かさはもちろんのこと、きっとお二人の魅力によるものも大きいのでしょう。
順調にここまで来ていると思われる反面、課題も多いと話す三角さん。「マスコミに取り上げていただいたり、行政から支援をしていただいたりと、インパクトはあるようですが、それをいかに継続的な仕事に結びつけていくかとなるとなかなか難しい。特にテレワークについてはそれが激しいですね。また、熊本県内の授産施設や小規模作業所などで製作された製品を展示販売をしていますが、一番売れるものは野菜や花など。施設が売って欲しいと願うものと、実際に売れるものとにギャップがあるのも課題点です」。
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心と心のコミュニケーション。それが一番の喜び
事業としての成功はもちろん大きな願いですが、竹元さんにとっての深い喜びは、また別のところにあるといいます。「体の障害を持っている人との内側のコミュニケーションが、少しではありますができるようになってきたかなと感じる時は、とても喜びを感じます」。また、会社員時代には考えもしなかったことが、今の自分を成長させてくれたのだとも。「組織にいると当たり前のように給料が入ってくるので、今、なぜ自分はこんなに貧乏なんだろう?なんでこんなに苦しいんだろうなどと、本気で考えたことがありませんでした。私の場合、そうやって自問自答をする機会が増えた結果、考え方がすごく変わりましたね。結果として人との関わりが増えてきたような気がします」。
今後の目標についてお聞きすると、お二人とも話が尽きません!「そうですね。まずは、障害者の雇用を増やしていきたい。各地域にナイスハートのようなところを作り出していきたいですね。そのためには、企業の協力が必要であるが、まずは自分たちの事業がしっかりと成り立たなければいけない。取り入れられるものは何でもやっていき、それによって最終目標である経済的な面だけではなくて、精神的な障害者の自立を目指したいですね!」と竹元さん。一方、三角さんは「障害者の仕事というと、すごく狭められているんですね。例えば、“接客”は無理だろうとか。私たちは、はじめから出来ないと決めるのではなくて、本当にできない?やってみたらできるかも?という考えを大事にしたいと思っています。出来るように工夫する…、その積み重ねで一つ一つ実践し、自分たちの想いをどんどん表現をしていきたい」。
すべては想いが先行する。これからはネットワークがますます大切!
最後に、竹元さんから、これからCBを目指す方へメッセージをいただきました。
「すべてには想いが先行します。これからは障害者だけではなくて、団塊の世代も働くことができない環境ができつつあります。社会の変革を確信犯的にやろうとしている人が増えているので、そこをうまくネットワークしていってもらいたいし、していきたいですね!一緒にがんばりましょう!」。強い想いを着実に形にしていく竹元さんならでは言葉に、背中をドンと押される気がします。笑顔が集うナイスハートが、各地に増える日を楽しみにしています!
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会社概要
●NPO法人 アイ・ネットワークくまもと
熊本市御領1丁目12−25
タブリエ託麻店内 ナイスハートショップ
TEL:096-213-6601
FAX:096-213-6602
e-mail:master@npo-ink.jp
HP:http://www.npo-ink.jp/
NPO法人アイ・ネットワークくまもと
住所 熊本市御領1丁目12番25号タブリエ託麻店ナイスハートショップ内
TEL 096-213-6601
FAX 096-213-6602
■法人設立日/2002年6月
■代表理事/竹元茂一
■役員の人数/3人
■活動スタッフ数/有給2名、無給5名
■設立時の協力者(サポーター)の有無/有
■設立時の資金調達について/自己資金
■設立時の人数/10名
■主な事業/
- IT関連業務
UD(ユニバーサルデザイン)名刺の作成、PC教室、Webサイトの作成、デザイン、チラシの作成など。
- ナイスハートショップ
・熊本県内授産施設などで作られた商品・作品の展示、販売
・福祉用品の販売・レンタル
・クリーニング取次ぎサービス
・買い物代行サービス ほか
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