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第三回:女性だけの農業法人。しめじを大木町のブランドに!

今回は、“女性だけで農業法人”を立ち上げ、しめじ、アスパラガスで地域ブランドの確立にも挑戦されている「モア・ハウス」の理事3名をクローズアップ。理事長大藪佐恵子さんを中心に、女性の感性を活かした先進的な戦略について、お話いただきました。
| [今月のキーパーソン] |
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大藪佐恵子おおやぶさえこ
農事組合法人モア・ハウス理事理事長(製造技術):農業 地域ブランド
モアハウスのリーダー。女性の視点を活かした農業、地域ブランドづくりをテーマに取り組んでいます。影響を受けた人は「きのこの里の創設者水落重喜さん。 |
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野口直子のぐちなおこ
農事組合法人モア・ハウス理事(総務):農業 地域ブランド
モアハウスの大蔵省。攻めの2人の間で、数字の観点から、冷静に的確な現状分析を行い、守りの要として、活躍しています。 |
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松藤富士子まつふじふじこ
農事組合法人モア・ハウス理事
(企画販売):農業 地域ブランド
モア・ハウスの広告塔。講演、広報、販売企画など、明るく、社交的な人柄を十分に活かし、モア・ハウスの企画販売に、
忙しく飛び回る日々。 |
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女性だけの「農業プロ集団」があってもいいじゃない!
福岡県三潴郡大木町は、エノキやしめじ、エリンギ、まいたけ、しいたけ、ぬめりすぎたけなど、きのこの産地として有名で、中でも「しめじ」は全国で2番目の生産を誇る有名な産地です。この大木町で、女性の農業のプロをぐいぐい引っ張るのは、農事組合法人モア・ハウス・理事長の大藪佐恵子さん。「当時は、農業が盛んな地といっても、主役は男性がほとんどで女性はサポート的な立場であるのがほとんど。また、全国2位の生産量を誇りながら、『大木町のしめじ』という地域ブランドの力はまだまだ弱いという悩みもありました。何か女性の力を活かしながら、地域ブランド作りに貢献できる取り組みはないか・・・。それじゃ、女性だけの農業プロ集団があってもいいじゃない!と」。その後、JA大木しめじ部会の部会長であり、大木町しめじの仕掛け人である水落さん(しめじの里の創設者)の呼びかけで、運営する理事の公募を開始。4名の理事が選ばれ、農事組合法人モア・ハウスが誕生したのです。
「私の場合、元々うちが米、麦、い草の生産をする専業農家だったんですが、やはりそれではキビシイという現状がありまして。新天地としてしめじを
選びだんですね。だから、当初から、しめじで食べていくにはどうしたらいいか、という意識は常にありましたね」と大藪さん。
念頭からビジネス的な視点で考え、行動してきたところにも成功のポイントがあるようです。
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農家の主婦が突然経営者に。家族や周りのサポートがあってこそ・・・・
「“モーア”はオランダ語では”母”。英語では”もっとさらにそれ以上”と言う意味。
農家の主婦が人生の目標、本当にやりたいことを実現できるような環境を作っていけ
るようにと、モア・ハウスと名付けました」と理事(企画販売)松藤さん。しかし、主婦がビジネスをスタートさせ、かつ、成功させるのはやはり大変だったのでは・・・。
「水落さん、大木しめじセンターをはじめ、まわりの方のサポートがなければ、事業を始めることはできませんでした」と大藪さん。「主婦の起業には、お金はもちろん、家事の問題が大きい。私達の想いと家族の協力、後押しがあったからこそ、勇気を出してチャレンジすることができたんです」と理事(総務)の野口さん。設立はもちろん、その後の運営に関わる全てについて、町の組合、家族などが全面的にサポート。モア・ハウスの例を見ても、やはり、支援体制、サポーターの重要性は明らかです。
農家の主婦が突然経営者になって、何もかもが始めてのことばかり。今でも、失敗や勉強の連続だと言います。「でも今、毎日が楽しいんです。子どもからもお母さん、“大変そうだけど、イキイキしてるね”って言われたんですよ」。松藤さんは、うれしそうに目尻が下がります。
また、資金面でのサポートも大きな力になったと言います。「設立時の資金調達は、まず、事業家に向けた『ゆとりの高収益型園芸農業確立対策事業』という県の事業があり、県からしめじの培養施設建設費の3分の1、大木町から6分の1という資金援助を受けることができました。また、理事の公募段階で、条件として『一人当たり300万円の出資金が出せる事』というのもありましたので、選ばれた理事4名それぞれが持ち寄って資金を調達しました」。
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きのこのイロハ覚えから始まった事業。経営安定の糸口とは?
設立したものの、3年間は利益まで至らず苦しい道のりの連続だったそうです。「きのこのきの字も知らないところからしめじ作りを始めたので、とにかく大変でしたね(笑)。まずは、先発法人、および大木しめじセンターの支援のもとで、栽培管理技術の習得に一生懸命。土台固めの段階で、利益というところまでは至りませんでした」と大藪さんは当時を振り返ります。
苦労した点の一つに、消費者のしめじに対する季節感も関係が。
「しめじは一年中収穫できるんですが、『しめじは冬に食べるもの』と消費者にイメージがあるようで、夏場には需要がグンと減ってしめじの単価が大幅に下落するんです。夏場の落ち込みをどうするか・・、それが大きな悩みだったんです。また、当時はもう一つ、しめじを培養した土台の処理にも頭を悩ませていました。それまでは全て捨てていたんですが、これが大変な量の産業廃棄物となるため、コストもかかって・・・」。何とかならないかと模索していたところ、大量にその土台を引き取りたいという業者が出現。
「いったい何に使うのかを聞いてみると、その土台を堆肥としてアスパラガスを栽培しているというんです。パーッと目の前が明るくなるような気がしました。そこにヒントを得て、それまで捨てていた土台を再利用する循環型の農法で、アスパラガスを3〜8月にかけて出荷することにしました」。夏場の落ち込み解消とコスト削減を一気に解決。年間を通した経営の安定化を図ることができるようになったのです。
新しい品種への改良も「勝ち組の農業」にはとても大切なこと。ただ、必ず成功するとは限らないのも、農業の難しさの一つと言えるでしょう。
「平成12年に、T 1という品種に変えて売り出す試みをしたのですが、その培養方法や管理がとても難しく、その上技術的な未熟さの手伝ってしまい、
大木町しめじ部会の中でもダントツに収益をあげる事が出来なくなってしまった時期がありました。これは部会全体の問題であったのですが、総会を開き、
新品種の培養を辞めて元の品種に戻すという決断をし、何とかその頃の危機を脱出する事が出来ました」。撤退の決断の的確さ、これも経営にとってとても
大事な要素なのです。
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女性の視点をいかしたブランドづくり。そして地域活性へ!
大きな飛躍をするには、女性の視点をいかした商品づくり、「大木町モア・ハウスのしめじ」というブランドを確立することがとても大切だ
と大藪さんは言います。「ブランド確立には、品質はもちろんのこと、消費者の主役である女性の視点をいかした商品づくりは欠かせません。
私達は、包装や店頭戦略など、実際に買い物をする女性が買いたくなるような、そんなしめじの販売を心がけています。女性だけの組織とい
うことで、女性のリアリスト的な発想が十分にいかされた事業、商品づくりができてきた点がよかったと思っています」。今では、三越百貨店に
て一つのブランドとして販売するほどまで成長しました。
生産者の顔を知ってもらい、消費者のニーズを知るため、対面販売にも力を入れています。福岡三越では週一回、スーパーマーケット年間200店舗ほど、しめじの試品配布サービス、販売を行っています。
また、女性だけの農業法人として注目を浴びてきている点も大きなメリットと自覚し、PRにいかしています。「講演活動のほか、取材はPR活動の一環として、必ずきちんと対応しています。また、モアハウスとしてだけでなく、大木町全体の広告塔でありたいと思っています」。
目標は「さらなる経営の安定化」。それは、よりよいものを提供するビジネスとして一番大切なこと。
今後の目標は、「さらなる経営の安定化」と言い切る大藪さん。よりよいものを提供していくには、一番大切なことだと言います。「いかにしめじの新鮮さを保って販売をしていくか? また、規格外の品物が販売できない上に夏場のしめじ価格の低下の時期に如何に経営を安定させていくか? 格外の品物を如何に収益をあげていくために利用していくのか?と、課題はいろいろありますが、それは経営を安定化させるためのものです。
あと、“安全な食べ物”という言葉は、既に当たり前になっている時代ですので、“モア・ハウス”という看板でしめじを買ってもらえるよう、ブランドを確立し、営業活動をしていきたいと思っています」。
「将来は、大木町といえばしめじ、と言われるようがんばりたい。地域活性につなげたい」と話す大藪さん。常に地域とつながり、地域の発展をも見据えた目標をしっかり持つ、現実的な対処をしながら、懐の深い大きな志を持つところに、大きな成功のポイントがあるのではないでしょうか。
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専業農家として食べていける喜び、女性の発想を世に送り出す喜び
この事業を行って良かったと、心から喜びを感じているといいます。
「何よりもまず、専業農家として食べていく事ができるようになったことでしょうか。それに自分達で企画し、行動して経営していく事の楽しさは何ものにも変えられません。
女性だけで組織することで、女性のリアリスト的な発想が十分に活かされて事業を行っていけるというところも、この活動を始めてあらためて良かったと感じていますね。3人の理事が生産技術、総務、企画販売を分担していますが、良い緊張感を持って、それぞれが力が120%引き出されるような良い関係が築かれているということも成功の一つの要件かなと思います」。
終始、柔らかな口調で取材に応えてくれた彼女たち。が、しめじの話となると、力強く歯切れよい答えが次々出てきて圧倒されるほど。その姿に、「いい物を作るためには、一歩も譲らない」という意志の強さを感じました。
最後に理事長・大藪さんに、座右の銘と、これからCBを始めたいと思っている方へアドバイスをお聞きしました。「座右の銘は、人様に支えられて今の自分があると感謝の意味を込めて、あえて他力本願。アドバイスは、プラス志向で頑張るのみ!ですね」と笑う大藪さん。地域とのつながりを大切に、積極的で計画的に実行してきた、彼女ならではの一言ではないでしょうか。
会社概要
●農事組合法人 モア・ハウス
平成9年、福岡県で有数のきのこ生産地、三潴郡大木町に農事組合法人として設立。
女性4名による共同出資でぶなしめじとアスパラガスの栽培を中心とした事業を開始。
数十名のパートの従業員もすべて女性で活気にあふれている。
〒830-0414 福岡県三潴郡大木町大字上木佐木527−1
Tel:0944-32-1588 Fax:0944-32-1625
HP:http://www.morehouse.or.jp/
■ 法人設立日/平成9年7月
■ 組織形態/4戸1法人(役員4名)
■ 事業種類/ぶなしめじ・アスパラガスの生産販売
■ 資本金/11,000,000円
■ 経営規模/施設1.612u(ぶなしめじ) ほ場1.5ha
■ 従業員数/14名
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